そもそも5Gとは? 第1回 第1世代から第2世代の流れと特徴
5Gとは何か? それがモバイルネットワークの世代の名称で第5世代(5th Generation。以降、5Gと略します)を意味することをご存知の方は多いと思います。
既に日常生活に必須のツールとなったスマートフォンですが、基を質せば自動車電話でした。各世代で進化を続けているために出発点も忘れ去られているでしょう。
第1世代(1st Generation。以降、1Gと略します)は1980年頃に国内サービスが開始されました。アナログ方式で初期型は車載式の大型装置でした。基本は車載ですが
ショルダーバッグのような本体を持ち歩けば携帯電話として使用できるタイプもありました。ただし、バッテリーが現在のようにリチウムイオンではなかったため重く、
気軽に持ち歩く気になれないものでした。また、通話料が非常に高額で企業の重役達が社有車で使用するようなものでした。その後、受話器を分厚くした携帯電話も
現れましたが通話料は下がらず普及することなく限られたユーザーが利用するのみでした。
筆者はこの時代の携帯電話を使った経験はなく通話品質は分かりません。しかし、相当に通話品質が悪く聞き取り難いものだったようです。重い、高い、聞き取り難い、
と言う三重苦でしたが、一定の需要があったことは想像に難くありません。今では想像もつかない状況ですね。
因みに、通信方式は国際的のみならず国内においてもバラバラで、各国、各キャリアで異なってました。また1Gは後付けの呼称です。当時は今日のような進化を遂げるとは
想像されていなかったのでしょう。
第2世代(2nd Generation。以降、2Gと略します)は1993年にサービスが開始されました。2Gではディジタル方式が採用され、端末も携帯できるくらいまでに小型化しました。
いわゆるフィーチャーフォン(ガラケー)ですね。端末も安価になり一般に普及し始めたのも2Gの頃からです。安価とは言え電話機としては決して安くはなかったのですが、
当時は長期の通話料契約を結べば端末を実質的にゼロにする売り方ができましたので普及しました。通話品質は満足できるものではなく、乗り物内部の通話では周囲の騒音に
紛れて聞き取れないことが多々ありました。因みに、当時は乗り物内の通話は白い目で見られるものの可能でした。また、通話中の切断は頻繁に発生しました。特に複数の
基地局からの電波を同時に受ける高所(ビルの高層階等)では頻繁に切断が発生した記憶があります。また、場所による電波状態変化が激しく、品質が確保できる場所を探して
マネキンのように不動の姿勢で切断を回避していました。
docomo(当時はNTT DoCoMo)では、端末メーカーの頭文字を加えてMova N(NEC)、Mova F(富士通)、Mova D(三菱電機)、Mova M(モトローラ)、Mova P(パナソニック。
当時は松下通信)、Mova R(日本無線)等があり、Mova Pは切断が起き難い、Mova Nは他社にない「二つ折り」端末を投入した等、メーカー人気を左右しました。また、
「二つ折り」端末の耐久性不足でヒンジ破壊が起き、メーカー間の優劣が明確になった時期でもありました。因みに、このヒンジの破壊は通話時のみ「二つ折り」端末を開閉
すると想定していたメーカーですが、若者が手持ち無沙汰の際に端末を振って開閉を繰り返す、と言う挙動を考慮していなかったため、と言うのが原因でした。その後、
SH(シャープ)、SO(ソニー)、SA(三洋電機)、ER(エリクソン)、NM(ノキア)等が加わり、端末の選択肢が増えました。
また、2Gでは国内の通信方式が統一されましたが日本の端末は海外では使えませんでした。元来、通信方式は米国、日本とそれ以外の国々の3つに分かれており、モバイル
ネットワークもD-AMPS(米国)、PDC(日本)とGSM(それ以外の国)に分かれていました。当時、日本と米国以外ではSIM交換で端末が使えたのですが、日本人は成田空港で端末を
レンタルするか、現地で端末を買うしかありませんでした。日本と米国以外ではフィンランドのノキア製が人気で高いシェアを誇っていましたが、日本や米国では国産メーカー
のシェアが高かい、と言う状況でした。
また、2Gと同時期にPHS(Personal Handy-phone System)も普及しました。これは、固定電話をコードレス電話のように持って歩くことを目的にしたもので、基地局も
携帯電話と較べて非常に手軽且つ安価であったこと、切れ難く通話品質も良好だったため携帯電話を凌駕する勢いで普及しました。一方で、鉄道や車での移動中には使えず、
また当時、普及し始めた端末からのインターネット接続やメール機能を備えたiモードの流れに乗れずに最終的にサービスの縮小を余儀なくされました。ただ、2G時代の
インターネット接続やメール機能は従量課金で使用分だけ料金が請求されるため、iモードで通話料の高額請求も問題になりました。最終的にPHSはその役目を終えることと
なった訳です。